HSS(High Sensation Seeking:刺激探求)とHSS型HSP(刺激探求型HSP)

アーロン博士らの研究によると、HSPのうち30%は外向的でありHSS(High Sensation Seeking:刺激探求型)の傾向があるとされています。

深く処理し些細なことにもよく気付き、刺激への敏感さと高い感受性を持つHSPと、外の世界で新奇なものや冒険にスリルや強い刺激を求めるHSS、これら相反すると思われる二つの特徴を持った30%は「HSS型HSP」と呼ばれています。

人口の20%がHSP、そのうち30%が外向的であるということは、HSS型HSPは全体の6%ということになり、大変少数派であることがわかります。

HSS(High Sensation Seeking)

心理学者のマービン・ズッカーマンによる概念です。

・目新しいもの、珍しいものや初めての体験を求める

・スリルや冒険などの強烈な経験を求める

・これらの体験を得るためには、リスクを冒すことも厭わない

「刺激探求」の言葉からもわかるように、刺激を得るための新しい体験やスリルある行動を自ら求めていくことがポイントのようです。

HSSの行動特性

◆新しい体験や面白そうなことを積極的に求める

・スリルや刺激のある遊びやスポーツをする

・日常生活から抜け出して遠出や旅行をすることを好む(行ったことのない国や場所を選ぶことが多い)

・イベントや飲み会に積極的に参加する(新たな友達を容易に作ったり、リーダー的な立場になったりすることも多い)

◆退屈、単調、平凡な日常を好まない

・新しい環境や刺激を求めて職場を変えたり、人間関係を変えたりすることがある

・予定のない休日を過ごすことができない(のんびりしたいと思っていても苦痛を感じる)

・しばしば飽きっぽく、成し遂げる前に興味が他に移りやすい

・予定は気分で決めることが多い

好奇心旺盛で積極性や行動力を伴うHSS傾向の人は、カリスマ性があると認められたり、リーダーシップを発揮したりして活躍することも多いでしょう。一方で、欲望に任せて衝動的に行動し、危険に身を晒してしまうこともあるようです。

刺激探求に影響を与える行動活性化システムからみたHSS

神経システムの一つである「行動活性化システム(BAS:Behavioral Activation System)」が活性化すると、人は望むものを得るために、また目標の達成に向けて行動を活発化すると言われています。

また行動活性化システムは、予期的な快感情を起こす、喜びなどのポジティブ感情を産むことなどに関与するとも言われており、このシステムの働きが強いと人は好奇心が強く、チャレンジ精神が旺盛になることがわかっています。

つまり、行動活性化システム(BAS)の働きが強い人は、HSS傾向が強いと言えるのです。

ちなみに、異なる構造を持つもうひとつの神経システムに「行動抑制システム(BIS:Behavioral Inhibition  System)」があります。

このシステムが活性化すると、潜在的な脅威に対して注意を喚起し、リスクの検討、葛藤の解決に有効な材料や記憶の探索を引き起こすと言われ、ネガティブな結果に至ると予測される行動を回避させたり抑制したりします。すなわち、HSPはこの行動抑制システム(BIS)の働きが強いと考えられます。

HSPとHSSの掛け合わせ=HSS型HSP

HSPの特性「D.O.S.E」に当てはまりながらも強い刺激を求めるHSSでもある人たちはHSS型HSPと呼ばれます。

HSS型HSPの特徴は

・好奇心旺盛で新しく珍しい経験や強い刺激を求めるが、刺激に圧倒され神経が高ぶりやすい

・外の世界で活力とエネルギーを得る必要があるが家に帰るとぐったりしている

・移り気で興味の対象が次々移り、そんな自分に振り回される

・退屈は好まず、すぐに新たな行動を始めるが、うまくいかないと自分を責めがちである

・社交的ですぐに友達をつくれるが、相手の気持ちを吸収して疲れてしまう自分がいる

・大きなリスクは冒したくないので危険すぎない喜びを追い求める

・HSPの特性「D.O.S.E」が当てはまる。

HSS型HSPが抱えやすい悩み
アーロン博士も述べていますが、HSS型HSPの多くは、「片足をアクセルに、片足をブレーキにして生きている」ように感じています。刺激や変化やスリルを求めるHSSの気質と、刺激に敏感で圧倒されやすいHSPの気質との間で混乱し疲れ果ててしまうのがHSS型HSPなのです。

好奇心や興味の赴くままに自ら行動しておきながら気付けばぐったりしている。そのような自分を見て、自分で自分をコントロールできないことに対する自己嫌悪の気持ちに苦しんでいる方も少なくありません。

大変に少数派であるため、理解されない孤独を感じ、自分はおかしいのではないか?と悩むこともあるでしょう。

傍から見るとエネルギッシュに行動し人生を楽しんでいるように感じられるHSS型HSPですが、処理の深さや刺激に対する敏感さの高さなどのHSPの特性「D.O.S.E」を持っていることを忘れることはできません。

外の世界で受けた刺激を静めるためのダウンタイム(休息の時間)は欠かせませんし、限界に達する前にそのサインに気付き、早めの対処が必要な点はどのタイプのHSPにも共通です。
また、何か新しいことを始めようとするときには、意識してちょっと立ち止まり状況を冷静に眺めることが必要な場合もあるかもしれません。本当に必要なこと(物)か?衝動的ではないか?などというように。

~最後に~
アーロン博士はHSS型HSPについて、もしHSPの部分がなければ、HSSは微妙なことを見落として何事にも突っ込んでしまうだろう、とコメントしています。また、あなたの中のHSSがあなたに新しい体験を見せてくれますように、そしてあなたの中のHSPが、その中に特別な喜びを見つけてくれますように、と続けています。

あなたの中のHSSの部分もHSPの部分も隠すことなく、否定することもなく共存されていくことを願っています、そのようなメッセージであるように感じます。

今回はHSS(High Sensation Seeking:刺激探求)とHSS型HSP(刺激探求型HSP)についてでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。